調査の実行より先に結果の形を見たい方は、立地診断のサンプルレポートで構成を確認できます。
- 中央 — 診断する候補地
- 周囲の5面 — 商圏・導線・競合・物件・リスク
立地調査で分かること・分からないこと
先に調査の限界を確認しておきます。立地調査で分かるのは、その場所の需要の土台(誰がどれくらいいるか)、来店のしやすさ(どう流れているか)、競合との位置関係、そして物件の物理的な条件です。
一方で、立地調査は売上を保証しません。同じ立地でも、業態・価格・運営で結果は変わります。立地調査の役割は「この場所で成立し得るか」「何が成立の条件か」「何がまだ分からないか」を、決断の前に整理することです。
この整理があると、物件の契約判断だけでなく、開店後の答え合わせ(想定と何が違ったか)にも使えます。調査は一度きりの儀式ではなく、判断の記録だと考えてください。
なお、商圏調査と立地調査という言葉の使い分けが気になる方は商圏分析と立地調査の違いで整理しています。このページでは「商圏の確認を含む、場所の総合調査」を立地調査と呼びます。
調査項目の全体像 — 5つの系統
調べる項目は多く見えますが、系統は5つに集約されます。
| 系統 | 確認すること | 主な手段 |
|---|---|---|
| 商圏 | 居住人口・世帯構成・昼間人口・将来の変化 | 政府統計(調査年を記録)・自治体資料 |
| 導線 | 人と車の流れ・向き・時間帯差・駅や駐車場との関係 | 地図+現地 |
| 競合 | 同業・代替の位置・価格帯・導線上の関係 | 地図+現地 |
| 物件 | 視認性・間口・入りやすさ・面積・賃料・契約条件 | 資料+現地+関係者 |
| リスク | 災害・都市計画・大型開発・周辺の変化予定 | ハザードマップ・自治体資料 |
5系統それぞれに「机上で分かること」と「現地でしか確定しないこと」があります。たとえば商圏の人口は机上で分かりますが、その人たちが店の前を実際に歩くかは現地でしか分かりません。この分担を意識すると、机上調査を「現地で何を確認すべきかを絞り込む工程」として使えるようになります。
候補地1件を評価するときの観点の詳細は出店候補地の見方にチェックリスト付きでまとめています。本ページは「調査をどの順で実行するか」に絞ります。
机上調査の手順 — 公開データで見る
机上調査は、無料の公開データでかなりの範囲まで進められます。順番は次の通りです。
- 1. 商圏の範囲を仮置きする。徒歩来店なら500m〜1km、車来店なら5〜10分圏など、業態に合わせて仮の範囲を決めます。市区町村の平均値ではなく、候補地を中心にした範囲で見ることが出発点です
- 2. 人口・世帯を確認する。政府統計のjSTAT MAP(統計地理情報システム)で、候補地周辺の人口・世帯数・年齢構成を小地域や地域メッシュ単位で確認できます。昼間人口は通勤・通学の集計であり、買い物客・観光客を含む実際の滞在人口やリアルタイム人流とは分けて読みます
- 3. 周辺施設と導線の仮説を立てる。地図で駅・学校・病院・スーパー・オフィスの位置を確認し、「人がどこからどこへ流れるか」の仮説を書き出します。この仮説が現地調査の確認リストになります
- 4. 競合を地図に落とす。同業と代替(顧客から見て代わりになる選択肢)を地図に落とし、候補地との位置関係・導線上の順番を確認します
- 5. リスク情報を確認する。国土地理院のハザードマップポータルと自治体の最新ハザードマップで災害リスクを、都市計画情報で用途地域や再開発予定を確認します
公開統計は「今この瞬間に、店の前を誰が通っているか」を示すデータではありません。出典・調査年・対象範囲を記録し、現地観察や物件側の資料と役割を分けます。商圏データの読み方は商圏分析のやり方で詳しく扱っています。
現地調査の手順 — 条件を変えて見る
現地調査の鉄則は、1回で済ませないことです。立地は時間帯・曜日・天候で別の顔を見せます。
| 変える条件 | 見えるもの |
|---|---|
| 平日の朝・昼・夜 | 通勤・ランチ・帰宅の流れの向きと量。自業態の営業時間帯に人がいるか |
| 休日 | 平日と別の客層・家族連れ・買い回りの流れ |
| 雨天・夜間 | 傘での歩きやすさ、看板と店内の見え方、街灯と暗さ |
現地で確認する項目は、机上で立てた仮説の答え合わせが中心になります。
- 店舗前の人と車の流れは、想定した向き・量・客層か
- 入口・間口・看板は、流れの中から自然に視認できるか
- 駐車場は入りやすく出やすいか(右折進入の可否、周辺の渋滞)
- 競合店の入り具合と客層(数字ではなく構造を見る)
- 物件資料に書かれていない減点要素(段差・暗さ・臭い・騒音・水たまり)
記録は「同じ書式」で残します。日時・天候・見た場所・数えたもの・気づきを毎回同じ形式でメモしておくと、複数候補の比較や、後からの見直しに使えます。撮った写真も日時と方向をセットで残してください。
結果を判断に落とし込む — GO・保留・NO-GO
調査の最後にして最重要の工程が、集めた材料を判断に変えることです。ここで多くの調査が「数字は集まったが、結局どうすればいいか分からない」で止まります。
おすすめするのは、結論を3つに分けることです。
- GO — 今回の調査で定めた最低条件を満たし、調査範囲内では判断を変える未確認が残っていない。残る確認は契約・工事など実行側の論点
- 保留 — 判断を変え得る未確認事項が残っている。「何を確認できたら決められるか」を明文化して、確認の期限を切る
- NO-GO — 今回の最低条件に対して、覆せない欠格条件がある(進入不可・投資上限超過など)。理由を記録して見送る
ポイントは、保留を曖昧な「様子見」にしないことです。未確認の項目・確認する手段・期限をセットにすれば、保留は前に進むための状態になります。逆に、分からないことをゼロや「問題なし」に置き換えて無理にGOにすると、開店後に答え合わせできない判断になります。
- 机上調査 — 仮説を立てる
- 現地調査 — 答え合わせをする
- 判断 — 条件つきで分ける
自分でやる範囲と、頼む範囲
ここまでの手順は、時間をかければ自力で実行できます。現実的な分担の考え方は次の通りです。
- 自分でやる価値が高いもの — 現地調査。あなたの業態の目で見た違和感は、外部調査では代替できません。営業を始めれば毎日見る場所でもあります
- 外部を使う価値が高いもの — 商圏データの整理と解釈、複数候補の同一基準での比較、判断材料としての文書化。時間がかかり、慣れの差が出やすい工程です
ROGNALIAの立地診断は、この後半部分を受け持ちます。公開データと周辺情報を整理し、強み・懸念・未確認事項を分けた意思決定レポートと根拠データブックにまとめ、現地確認チェックリスト(あなたが現地で見るべき項目)まで含めて納品します。8,000件以上の既存店・候補地を同一基準で整理してきた評価の型を、1地点から使えます。
参照した公的情報と、読み方
- e-Stat 統計地理情報システム — jSTAT MAPで小地域・地域メッシュなどの統計を地図上で確認するための入口
- 総務省統計局「昼間人口・夜間人口とは」 — 昼間人口が国勢調査の通勤・通学集計であることを確認する資料
- 国土地理院 ハザードマップポータルサイト — 全国の災害リスクを確認する入口。詳細は自治体の最新資料も併用します
公的統計は有力な根拠ですが、公表年(調査年)と集計定義があります。本記事では、統計を現地の実人流の代用にはせず、机上で仮説を作る材料として扱います。
立地調査の結果がどんな資料になるかは、サンプルレポートで確認できます。
サンプルレポートを見る