実務チェックリスト

出店前に不動産会社・本部へ聞く質問リスト

公開日: 2026年6月10日最終更新: 2026年6月10日

物件資料や本部資料を前にしても、「何を確認すれば十分なのか」は意外と分かりにくいものです。確認が曖昧なまま進むと、契約後に「聞いておけばよかった」が起こります。

このページでは、出店前に確認したい質問を、聞く相手別ではなくポイント別に整理しました。同じポイントでも、不動産会社に聞くこと、FC本部に聞くこと、自分自身に問うこと、専門家に確認することは違います。「誰に・何を聞くか」まで分けてあるので、内見や本部面談の前の準備にお使いください。

なお、契約・税務・許認可など専門判断が必要な事項は、このページでは「専門家へ確認する質問」として扱います。

結論

出店前の質問は、物件条件、立地・商圏、売上前提、契約、運営支援、リスクのポイントに分け、不動産会社・本部・自分・専門家の聞き先を整理します。

ポイント 不動産会社 FC本部 自分自身 専門家
物件・設備の条件
立地・商圏・競合
売上前提・収益モデル
契約条件
工事・看板・許認可
開業後の支援・運営

物件・設備の条件

主に聞く不動産会社

あわせて確認自分自身

ケースによるFC本部・専門家

立地・商圏・競合

主に確認自分自身

あわせて確認不動産会社・FC本部

ケースによる専門家

売上前提・収益モデル

主に聞くFC本部・自分自身

ケースによる不動産会社・専門家

契約条件

主に聞く不動産会社・FC本部・専門家

あわせて確認自分自身

工事・看板・許認可

主に確認専門家

あわせて確認不動産会社

ケースによるFC本部・自分自身

開業後の支援・運営

主に聞くFC本部・自分自身

ケースによる不動産会社・専門家

凡例: ◎=主に聞く相手 ○=あわせて確認 △=ケースによる
同じポイントでも、聞く相手によって得られる情報が違います。1つの相手にすべてを聞こうとしないことが、確認漏れを減らすコツです。

質問する前に整理しておくこと

質問の質は、準備で決まります。聞く前に、次の点を手元にまとめておくと、相手の回答も具体的になります。

  • 業態、出店の目的、想定する客層
  • 候補地の住所と物件資料(賃料・面積・階数・駐車場)
  • 候補地は1つか、複数比較の段階か
  • FC加盟か、自主出店か
  • 回答や契約の期限、内見・面談の予定日

この整理は、第三者に候補地の確認を依頼する場合にも、そのまま依頼時の情報として使えます。

不動産会社へ聞く質問

物件と契約条件まわりは、不動産会社が最初の確認先です。

ポイント 質問例 なぜ聞くか
賃料・費用賃料のほかに、管理費・敷金・保証金・更新料はいくらですか初期費用とランニングの全体像を掴むため
引き渡しどんな状態で引き渡されますか。設備は何が残りますか工事範囲と費用が大きく変わるため
原状回復退去時の原状回復の範囲はどこまでですか出口コストを先に知るため
前テナント前のテナントの業態と、退去の理由を教えてもらえますか立地・設備のヒントになるため
看板看板はどこに、どんなサイズで出せますか視認性に直結するため
駐車場駐車場は専用ですか共用ですか。台数と利用条件は来店のしやすさに影響するため
営業条件営業時間・業種・においや音の制限はありますか業態によっては致命的な制約になるため
周辺情報近隣で出店・退去・開発の予定はありますか商圏が変わる要因を先に知るため
搬入・ゴミ搬入経路とゴミ置き場の条件はどうなっていますか日々の運営コストに関わるため

用途地域や許認可に関わる事項は、不動産会社の説明とあわせて、行政や専門家にも確認しておくと確実です。

現場メモ: 「前のテナントの退去理由」は答えにくい質問ですが、どう答えてもらえるか自体が情報になります。具体的に説明してもらえるのか、言葉を濁されるのか。回答の中身とあわせて、そのやり取りも判断材料として残しておきましょう。

FC本部へ聞く質問

FC加盟の場合は、候補地と収益モデルの前提を本部に確認します。対立のためではなく、前提を理解するための質問です。

ポイント 質問例 なぜ聞くか
候補地の選定この候補地を選ばれた理由を教えてください本部の立地評価の観点を知るため
商圏設定商圏資料の範囲は、どんな考え方で設定していますか数字の前提を理解するため
類似店モデル収益の参照店は、どんな基準で選んでいますか候補地との条件差を見るため
実績との差参照店と候補地で、条件が違う点はどこですか数字をそのまま当てはめない判断のため
費用初期投資に含まれない費用には何がありますか想定外の追加費用を減らすため
近隣出店近隣への追加出店やテリトリーの方針を教えてください商圏の前提が変わる可能性を知るため
開業後支援開業後の支援は、何が・どの頻度でありますか開業後の運営体制を設計するため
下振れ時想定を下回った場合、どんな支援・対応がありますか厳しい局面での関係を事前に知るため

FC候補地の確認の進め方は、フランチャイズ本部から候補地を提示されたら確認すべきことに詳しくまとめています。公的な整理としては、中小機構のJ-Net21「FC加盟を考える」も参考になります。

自分自身に確認する質問

外部への質問と同じくらい重要なのが、自分への質問です。回答を集めても、最後に判断するのは自分自身だからです。

  • この業態の対象顧客を、自分の言葉で説明できるか
  • 想定が下振れした場合でも、資金繰りは耐えられるか
  • 人の採用・シフト・現場管理を、この立地で回せるか
  • 家族・共同経営者・金融機関に、この候補地を選ぶ理由を説明できるか
  • この候補地にどこか違和感があるなら、それは何に対する違和感か

最後の問いは特に大切です。違和感は、確認すべきポイントがまだ言葉になっていないサインであることが多いものです。

専門家・行政へ確認すること

次の事項は、不動産会社や本部の説明だけで確定させず、必要に応じて専門家・行政に確認することをおすすめします。

  • 契約書の内容(賃貸借契約・FC契約)
  • 用途地域・建築に関わる制限
  • 営業に必要な許認可(保健所・消防など)
  • 税務・融資・資金計画

このページを含め、立地や商圏の整理は「判断材料の準備」であって、契約・法務・税務の判断そのものではありません。専門判断が必要な事項を切り分けて専門家に渡すことも、出店準備の大事な一部です。

質問を候補地ごとの具体的な形に落とす

一般的な質問リストは、そのままだと「一般的な答え」しか返ってきません。効くのは、候補地の条件に合わせて具体化された質問です。

たとえば「駐車場は十分ですか?」ではなく、「平日の夕方がピークになる業態ですが、その時間帯に入出庫が詰まる可能性はありますか?」と聞く。「競合は多いですか?」ではなく、「隣駅の◯◯業態と商圏が重なると見ていますが、本部の商圏設定ではどう扱っていますか?」と聞く。

具体化のためには、候補地の商圏・導線・競合・物件条件を先に整理しておく必要があります。Location Intelligence Workspaceの候補地診断では、この整理とあわせて、本部・不動産会社への質問リストと現地確認チェックリストを候補地ごとに作成しています。

違和感・気になること
確認すべきポイントに言語化する
相手別の質問に整理する 不動産会社 / 本部 / 自分 / 専門家
回答と現地確認で材料を集める
契約判断に進む / 保留する / 追加で確認する
質問は「聞いて終わり」ではなく、回答を判断材料として整理するところまでがワンセットです。

候補地ごとの質問リストづくりから依頼したい方へ。候補地の整理とあわせて、聞くべきことを具体化します。

立地診断のサービス概要を見る

質問リストだけで判断しない

質問への回答は判断材料であって、最終判断ではありません。

回答の内容、現地での確認、資金計画、契約条件、専門家の確認。これらを重ねたうえで、契約や出店に進むか、保留するか、追加で確認するかを決めることになります。回答に強い懸念が残る場合や、確認できていないことが多い場合は、「保留」や「追加確認」も立派な判断です。期限に追われて確認を省くことだけは避けたいところです。

よくある質問

最低限であれば、賃料以外の費用の全体像、引き渡し状態と原状回復の範囲、看板の条件、駐車場の条件、前テナントの業態と退去理由の5点をおすすめします。いずれも後から変えにくく、収支と来店のしやすさに直結する項目です。
予測が当たるかどうかではなく、前提を聞きます。参照している類似店の選定基準、その店と候補地の条件の違い、数字の集計期間、含まれる費用の範囲などです。前提が理解できると、数字を自分の計画として引き受けられるようになります。
質問リストは確認漏れを減らす道具で、それだけで判断が完結するものではありません。回答に加えて、商圏・導線・競合のデータ、現地確認、資金計画、必要に応じた専門家の確認を重ねて判断することになります。
候補地が未定の段階では、質問リストよりも「どのエリアを見るか」の整理が先になります。エリアの洗い出しから候補地の比較、質問リストの作成までの流れは出店エリア探索・立地診断の概要にまとめています。

質問リストを、あなたの候補地仕様に

候補地の商圏・導線・競合・物件条件を整理したうえで、本部・不動産会社へ聞くべき質問と現地確認リストを候補地ごとに作成します。ご状況に合わせて、お気軽にご相談ください。